ケース問題などが課される企業が多くなってきているが、正しい答えが存在しているという前提で、その答えに辿りつこうと答えを探す人と、目の前の問題について考えることに集中する人の態度は、まったく異なる。ケース問題は、思考方法を具体的に知るための会話の材料として使われているだけで、それ自体に正しい答えを出すことが重要なわけではない。思考体力、思考意欲を付けることが大切である。企業に入社してから思考スキルは十分に学べ、学生の間に身につけておく必要はない。「頭の中から、解法という知識を取り出すということ」と「考えるということ」が全く異なる行為であり、区別する必要がある。思考意欲が高い人は「半端ではないレベルまで考え尽くすことができる人」であり、そんなことを考えて、何の役に立つのかと思えるようなことを永遠と考える人である。反対に、世の中には、たとえさまざまな思考ツールを使いこなせる高い思考スキルをもっていても、考えるのがそこまで好きでない人がいる。また、思考体力が高い人は、高い緊張感の中で何時間も議論を続け、体力的に消耗する飛行機移動を繰り返し、時には十分な睡眠時間を確保することもままらない中で、それでも明晰な思考や判断が可能になるだけの体力がある人である。また、外資系企業が欲しがる人材としては、①リーダーシップがあること②地頭がいいこと③英語ができることである。日本人に圧倒的に足りていないのは①と③である。この三条件を満たす人が日本人よりも中国人留学生のほうが多くなってきている。その条件の中でもリーダーシップは重要である。